オンライン診療を始めようとしたとき、最初につまずきやすいのが予約の受け方です。
対面の予約はこれまでの窓口で受け、オンライン診療は別サービスの予約画面で受ける。この形になると、受付スタッフは予約状況を確認するたびに2つの管理画面を行き来することになります。枠の埋まり具合も一目では把握できません。
本ページでは、診療予約システムとオンライン診療を連携させるとできること、2026年4月の医療法改正で加わった前提、そして選定時に確認したい点の3つを解説します。
対面診療はWeb予約または電話、オンライン診療は別サービスの予約画面。こうして入口が2つに割れると、受付スタッフは予約状況を確認するたびに画面を切り替えることになります。当日の診療の流れを頭のなかで合成しながら受付に立つ状態です。
やがて起きるのが、同じ医師の同じ時間帯に対面とオンラインの予約が入るダブルブッキングです。片方の台帳だけを見て枠を埋めていくと、注意力の問題ではなく構造の問題としてこの事故が起きます。
オンライン診療では、診療の前に医師と患者の双方が身分確認書類で本人確認を行うことが原則とされています。オンライン診療を行うことへの患者の合意も必要です。
これらが予約フローの外側に置かれると、診察の直前に電話やメールでのやり取りが発生します。確認が済んでいない患者を画面の前で待たせる場面も生まれます。予約は取れているのに診察が始められないという詰まり方が起きるのが、対面との違いです。
対面診療なら会計窓口で完結する精算が、オンライン診療では後日振込や別サービスでの決済になりやすくなります。入金の確認作業と、未入金の患者への連絡が事務に残ります。
処方箋の送付先薬局の確認も同じです。診察そのものは画面越しに数分で終わっても、そのあとに事務作業が積み残ります。診察の効率化と事務の負担軽減が連動しないのが、予約と決済が切り離された状態の特徴です。
連携の中心にあるのは、1つのカレンダー上で枠の属性を持てることです。「この時間帯は対面のみ」「この時間帯はオンラインのみ」「どちらでも可」といった設定を、時間帯ごとに分けて置けます。
枠を医師や診察室というリソース単位で持たせれば、同一の医師が同時刻に対面とオンラインを受けてしまう事故を構造的に防げます。受付が2つの画面を照合する作業そのものがなくなります。
ここまで整うと、枠の設計そのものが打ち手になります。午前は対面に寄せ、昼休みや診療時間の終盤にオンライン枠を置く。空いていた時間帯にオンラインを充てるという配置が、台帳が1つだからこそ検討できるようになります。
予約が完了した時点でWeb問診の入力依頼を自動送信できる構成なら、診察開始前に回答が揃った状態を作れます。オンライン診療への同意を電子同意書として予約フローに組み込めるサービスもあります。
問診の回答が電子カルテへ取り込める場合は、診察が始まった時点で医師が患者の状態を把握しています。画面越しの限られた時間を問診に費やさずに済む点が、対面との差を埋める部分です。予約の完了が、そのまま診察の準備完了になる形を目指します。
予約管理画面から対面診療とオンライン診療の予約を一元管理できるとするサービスがあります。WebとLINEの両方から予約を受け、Web問診の連携とオンラインカード決済までを同じ画面で扱えるとしています。患者が予約時にカードを登録しておく形であれば、診察後の請求を管理画面から進められます。
ただし対応範囲は各社で大きく異なります。処方箋の送付先薬局を予約時に選択させる仕組みや、薬の配送手配までを一連の流れに含められるかは、サービスごとに確認が必要です。どこまでが1つの流れになるかを見積もり段階で切り分けてください。
2025年12月12日に公布された医療法等の一部を改正する法律により、オンライン診療が医療法上に定義されました。オンライン診療に関する規定は2026年4月1日から施行されます。
オンライン診療を行う医療機関は、その旨を所在地の都道府県知事に届け出ることとされました。開設時・変更時の届出事項に「オンライン診療を実施している旨」が追加されます。すでに実施している医療機関には経過措置が示されています。2026年4月1日時点で実施中の場合、2027年3月末までに届出をすれば足りるとされています。
オンライン診療を行う医療機関の管理者には、オンライン診療基準に適合した診療が行われるよう必要な措置を講じることが求められます。措置の内容には、医師に対してオンライン診療に必要な知識・技能を習得させるための指導等を講じることが挙げられています。
あわせて「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が省令に引き上げられ、違反に対しては都道府県知事等の是正命令等が可能になります。これまで指針として運用されてきた内容が、法令上の遵守事項として位置づけられる点が変更の要点です。
オンライン診療の通信環境については、医療機関が十分な情報セキュリティ対策を講じることとされています。その対策には、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに沿ったものを含むと示されています。
オンライン診療は患者情報を院外とやり取りする診療形態です。通信の安全性とアクセス管理がシステム選定の要件になります。検討しているサービスがどの水準の対策を講じているかを、自院のセキュリティ方針と照らして確認してください。
オンライン診療への対応には2つの型があります。予約システム自体がオンライン診療機能を内蔵している一体型と、すでに使っているオンライン診療サービスと接続する連携型です。
一体型は管理画面が1つで済み、枠の設計も同じ画面で完結します。連携型はすでに現場に定着した運用を変えずに済み、予約側だけを入れ替えられます。
判断軸は2つです。オンライン診療の実施頻度と、既存システムの資産。週に数枠であれば連携型で足り、常設の診療形態として組み込むなら一体型のほうが枠の設計まで扱いやすくなります。
オンライン診療への対応可否は、選定の判断軸のひとつにすぎません。自院がそもそも抱えている課題は何でしょうか。新規患者の集患、受付スタッフの負担、複数医師や特殊機器を含む複雑な予約枠。どれを優先するかで、選ぶべきシステムは変わります。
オンライン診療に対応していても、集患の導線が弱ければ集患の課題は残ります。逆に受付負担を最優先するなら、電話の受電を減らす機能のほうが効きます。最も解消したい課題から逆算する順序で検討してください。
オンライン診療の「診察」だけができても、決済とカルテ記録が手作業のまま残れば、受付の負担は思ったほど減りません。工程が途切れる箇所には、人の作業が戻ってきます。
確認したいのは、予約・問診・診察・決済・カルテ記録という5つの工程のうち、どこまでが1つの流れとしてつながるかです。工程の境目に手入力や目視の照合が残る箇所を、見積もり段階で洗い出してください。
遠方に住む患者、日中に職場を離れにくい患者、小さな子どもを連れての通院が難しい保護者。こうした方々にとって、来院という前提が外れることは受診のハードルを下げます。
予約の段階で対面とオンラインを選べる状態にしておくことで、受診機会を確保しやすくなることが期待できます。
昼休みや診療時間の終盤にオンライン枠を置けば、これまで稼働していなかった時間帯を使えます。対面の枠を削らずに受け皿を増やせる点が、時間帯の使い分けの利点です。
悪天候で来院が難しい日に、対面の予約をオンラインへ振り替える運用も考えられます。空席のまま流れていた枠を活かせる可能性が出てきます。
定期的な受診が必要な患者にとって、来院とオンラインのどちらかを選べる状態は、次の予約を取りやすくします。診察の帰りにその場で次回を決めやすくなる点も働きます。
仕事の都合や天候で来院を見送る場面でも、オンラインという選択肢が残ります。予約そのものを取り消さずに形を変えられるため、次の予約が途切れにくくなることが期待できます。
オンライン診療への対応で要になるのは、対面枠とオンライン枠を1つの台帳で管理できるかどうかです。
2026年4月の改正で届出などの前提も加わり、システム選定の要件にセキュリティの観点が入りました。予約・問診・診察・決済・カルテ記録のどこまでが一連の流れになるかを見積もり段階で確認し、自院の診療フローに合う対応範囲のシステムを選びましょう。
当メディアでは、診療予約システムの導入や入れ替えをご検討の方に向けて、「予約の取りこぼしを防ぎたい」「電子カルテ一体型を使いたい」「オーダーメイドで一から構築したい」という、よくあるニーズ別におすすめのシステムを紹介しています。システム選定の参考にご覧ください。
診療予約システムは、患者様の利便性向上と医院の業務効率化を同時に叶える強力なツールです。
ここでは数あるシステムの中から、自院に合ったものを選べるよう、ニーズ別に厳選した3システムをご紹介します。