一般皮膚科と美容皮膚科、一般整形外科と自費のリハビリ・トレーニングなど、保険診療と自由診療を併設するクリニックが増えています。
しかし、保険診療と自由診療では予約の取り方も受付・会計の流れも大きく異なるため、片方の仕組みに引きずられてもう片方が回らなくなる、という悩みは少なくありません。
本ページでは、保険と自費を併設した際に起きやすいオペレーションの混乱を整理したうえで、まず押さえておきたい「混合診療」の基本的な考え方、そして両方のフローを崩さずに一元管理するために予約システムへ求めたい要件と選び方を、予約システムの目線で解説します。
保険診療は、当日の順番待ちや緩やかな時間枠で回すクリニックが多い一方、自由診療は施術時間が長く、部屋や機器を確保する必要があるため、時間帯を完全に指定した予約が基本になります。
たとえば、順番待ちの保険患者が立て込んでいる時間帯に、時間指定した自費施術の予約が入っていると、どちらを優先するかで現場が混乱します。性質の異なる2つの予約方式を、1つの受付・1つの台帳で同時にさばこうとすると、枠の設計が破綻しやすいのが最初の壁です。予約方式そのものの違いは時間帯予約と順番待ちの違いもあわせてご確認ください。
自由診療では、特定の施術機器や処置室、担当できるスタッフが限られることが多く、同じ時間帯に複数の予約が重なると成立しません。
たとえば、1台しかないレーザー機器や、施術できるスタッフが2名しかいないメニューでは、予約が重なった瞬間に片方を断らざるを得なくなります。保険診療の予約とは別の軸で、部屋・機器・人という「リソース」の空き状況を管理しなければ、手作業ではダブルブッキングを防ぎきれない状況が生まれます。
保険診療はレセコンで算定した窓口負担分を、自由診療は自費のメニュー料金を、それぞれ会計します。
両者が混在する受付では、どちらの会計なのかを取り違えたり、レセコンと自費の金額を手作業で二重入力してミスが生じたりするリスクが高まります。
日本の公的医療保険制度では、1回の一連の診療の中で保険診療と保険外診療(自由診療)を併用する「混合診療」は、原則として認められていません。
原則に反して併用した場合、本来は保険が使えるはずの部分も含めて全額が自己負担となる扱いになります。そのため、保険と自費を併設するクリニックでは、両者を「別のメニュー・別の会計」として明確に分けて提供するのが基本です。
混合診療の原則には例外があり、厚生労働大臣が定める「評価療養」「患者申出療養」「選定療養」に該当する場合は、保険外併用療養費制度として保険診療との併用が認められています。
ただし、美容目的の施術など、一般的な自費メニューの多くはこの例外には該当しないため、自院で提供する自費診療がどの扱いになるのかは、制度の枠組みに沿って正しく整理しておく必要があります。
ここまでを踏まえると、予約システムに求める要件の出発点が見えてきます。
それは、保険診療のフローと自由診療のフローを、予約・受付・会計のそれぞれで明確に分けて扱えることです。制度の枠組みを正しく理解したうえで、その運用を無理なく支えられる仕組みかどうかが、システム選びの土台になります。
保険診療の順番待ち・時間帯予約と、自由診療の完全指定予約を、それぞれに適した方式で設定しながら、1つの管理画面でまとめて見渡せることが理想です。
診療メニューごとに予約方式や1枠あたりの所要時間を個別に設定できる柔軟性があれば、性質の違う予約を無理なく共存させられます。
自由診療の予約時に、診察だけでなく、使用する施術機器や処置室、担当スタッフの空きも同時に押さえられる仕組みがあると、リソースの重複を自動で防げます。
「診察と機器と部屋をひとまとまりで予約する」といった複数リソースの連鎖的な予約に対応しているかは、併設クリニックにとって重要な確認ポイントです。
予約システムがレセコンや電子カルテと連携していれば、保険診療分の算定金額と自費メニューの料金を、それぞれ正しく会計に引き渡せます。
金額の手作業による二重入力をなくし、保険分・自費分の取り違えを防ぐことにつながります。連携の仕組みは診療予約システムと電子カルテ連携で詳しく解説しています。
自由診療では、複数回の施術をまとめたコース契約(回数券)の管理や、施術前の同意書取得、事前の決済といった、保険診療にはない事務作業が発生します。
これらを紙で運用すると管理が煩雑になるため、コース契約の消化状況の管理や、同意書の電子取得、オンラインでの事前決済に対応しているかを確認しておくと、自費フローの事務負担を抑えられます。
保険診療と自由診療を併設するクリニックが予約システムを選ぶ際は、以下の観点を満たしているかを確認するとよいでしょう。
自院の診療内容やリソースの状況に照らし合わせて、優先順位の高い項目から確認していくことをおすすめします。
保険フロー(順番待ち・時間帯予約)と自費フロー(完全指定予約)を1つの台帳で両立できるか。診療メニューごとに予約方式や所要時間を個別設定できるか。
そして、施術室・機器・スタッフの空きを同時に押さえる連鎖予約で、ダブルブッキングを防げるかを確認します。
レセコン・電子カルテと連携し、保険分・自費分の会計を正しく仕分けられるか。
コース契約(回数券)の管理、電子同意書の取得、事前決済など、自由診療特有の事務をペーパーレスで完結できる機能があるかを確認します。
混合診療の原則に沿って、保険診療と自由診療の会計を明確に分けて運用できるか。
制度の枠組みを踏まえたうえで、自院の運用ルールを無理なく反映できる柔軟性があるかが、長く使ううえでの分かれ目になります。自院の課題に合わせた総合的な選び方は診療予約システムの選び方もご覧ください。
診療予約システムは、患者様の利便性向上と医院の業務効率化を同時に叶える強力なツールです。
ここでは数あるシステムの中から、自院に合ったものを選べるよう、ニーズ別に厳選した3システムをご紹介します。